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そして、すぐ後ろを走る2台が彼の身体を乗り上げ転倒。
彼はブーメランのようにクルクル廻りながら、路面を滑走した。
止まった彼はぐったりしていた。
まさに才能を開花させた矢先の、あまりにも突然過ぎる『死』だ。
彼はまだ19歳で、カメラを向けると笑顔ではしゃぐ、あどけなさの残る少年だった。
よく、『生まれた意味がある』『生きる意味がある』と言うが、本当にそうか? と思ってしまう。
彼の生きる意味……生まれた意味……とは何だったのだろうか。
階段を登りは始めた彼を、運命とやらが突き落としたのだ。
例えるなら、ずっと想い続けていた人と、やっと付き合うことができて、手なんか繋いだりして……でもキスもエッチしないまま死んでしまったのだ。
悔いはないかい?
きっと、あるに決まってるよな。
サヨナラ……富沢祥也。
オレは悔いのない人生を生きれるかな。
生きたいよ……生きたいよ……悔いなく生きたいよ。
かっこよく生きれなくてもいい。
幸せだったなと、振り返りながら死にたい。
だからオレは生きるよ。
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