出逢い

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男子は坂の途中まで 転げ落ち仰向けの状態の まま寝そべっていた。 「だ、大丈夫ですか!?」 私が声をかけ近寄ると 男子は眉間に シワを寄せながら 「ねむい…」と呟いた。 え…ねむい? 痛いじゃなくって!? 「ケガはないですか?」 訳がわからないが とりあえず聞いてみた。 「あんた誰…?」 気だるそうに 目だけこっち見た。 いや先に今の質問に 答えて下さい。 「ちょっと失礼します」 会話が成り立ちそうに ないので腕をまくってみた。 案の定ひどい 擦り傷だった。 よく見れば顔も 怪我していた。 この分じゃ背中も すごいだろうなあ… よく平気な顔してられる… 「ここにいてください!私消毒液とか買ってくるんで!」 スクッと立ち、 眠そうに顔をしかめている 男子に言った。 「…あぁ」 男子はやる気ない 返事をして目を閉じて …寝た。 普通こんな状況で寝る!? …あぁ、私はなんて お人好しなんだろうか… ましてやこんな ワケわからない人を相手に。 これで完ぺき入学式遅れる。 でも怪我人は ほっとけないよね。 私は近くの薬局まで 走り出した。 今日はなんだかよく走る日 だなぁ。 .
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