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遠い眩暈がして、ローズは瞳を伏せる。
「―――亡くしたと思っていた、あの日に……」
―――孤児院の襲撃があった、あの日、
ローズもまた、生き永らえたのは、自分だけだと思って、―――生きてきた。
どこまでも埋められない空っぽの孤独を抱えて。
孤児院の木漏れ日に包まれたあのひととき。
――――迎えに行くから、必ず
あの時間に、必ず戻れるよと、ブレインは微笑した。
あの日から、10年。
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