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目下、作家は悩んでいる。かの欧州の有名な作家はたった一杯のコーヒーだけで小説を書いたそうだ。
が、今の僕には十杯のコーヒーを飲んだとしても一行たりとも書けないだろう。まわりはおだてて書かせようとしてもそればかりは無理なのだ。
神様がネタを与えてくださる以外にはといった理由で。
神様は残酷な方らしく、前作を産ませるために芽衣を殺した。
確かに僕はきちんとした作品をもって食べていけるだけの作家になりたかった。
それでも隣に芽衣が居て、といった条件付きだったのだが。
神様は残酷な方だ。そのあとの芽衣に対する整理の為の小説で僕を人気とつく作家にしてしまったのだから。
神様が悪魔なら橘担当者は悪の手下といった所だろうか。僕が墓にもって行こうとした小説を取り上げて本にしてしまったのだ。
確かに百歩譲って橘が僕を人気作家にしたと言ってもいい。だけど、僕は橘のやり方が嫌いだった。
人気作家の特権で編集担当者を選べたので今の担当者は新山さんだ。
二度と橘と組んで仕事等したくは無かった。
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