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「うま…! 斗真起きなさーい! 大事な話しがあるからー」
自分の部屋で気持ち良く寝ていたところ、母さんの大声によって起こされた。
「ん、なんだ? 朝っぱらから……」
お母さんがこんなに朝早くからオレのことを呼ぶことは滅多にないので、気になったオレはすぐに起きて下に降りた。
自己紹介が遅れたかな?
オレの名前は藤岡斗真(フジオカ トウマ)。
入学式をついこの前に終わらせた高校一年生だ。
「なに母さん? 大事な話しって?」
「あら、おはよう斗真。まぁお父さんが話してくれるから椅子に座っときなさい」
こんなに改まって今からなにを聞かされるんだ?
とりあえずオレは椅子に腰を掛けた。
オレが座ったその向かい側には、父さんが座っていた。
「おう斗真! 話しってのはな……、簡単に言うと旅行だ! ちょっくらパキスタンに旅行してくる。その間留守番頼んだぞ」
は……?
この人は何を言っているんだい?
「ちょっ、いきなりすぎるだろ! いつ帰ってくるんだ?」
「気が向いたら帰ってくるわ。そんじゃな」
絶対前から決まっていたことなのになんで行く直前にそんな大事なことを言うんだ?
いつもうちの親はこう突発的なんだよな……
まっいっか。一人暮らし結構憧れてたし。
そして両親が家を出る。
隣の家の桜の木から落ちる花びらが、いやに綺麗で、また、切なく感じた。
そんなことを思っていると両親は玄関を出て少し歩きだした瞬間、トラックにひかれポックリと逝った。
悲しかったよ、あんときは。
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