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二羽の兎が月を見ながら何やら話をしてるので、私は耳を傾けてみた。
「……だから、あれが臼で、あれが杵であれが兎な」
「見えない」
「だよなー! 見えないよなー!」
「見えない」
思わずくすりと笑いそうになったが、そこは我慢。
面白いから、もう少し見ていよう。
「でも、人間には見えたらしいんだよ」
「人間はおかしい」
「そう、人間はおかしいんだよ」
「眠い」
「はいはい。お前が月の兎が見たいって言ったのに」
「兎いない。眠い」
「ああ、もう。ちゃんと巣穴帰れるか?」
「帰る。眠い。兎いない」
「しつこいな。じゃあなまた明日。おやすみ」
「おやすみ」
そして二羽はそれぞれ巣穴へと帰っていった。
「確かに兎には見えないよなあ」
思わず月を眺めてポツリと呟く。
その後、今まで会話を思いだし、私が大笑いしてしまったのは内緒の話だ。
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