◯◯の虫

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つり上がった目。 黒い瞳は、夜の深淵。 その奥に見えるのは、自信に満ちている光。 形の良い滑らかな鼻梁。 細い針のような銀の髪。 そして そこから さりげなく突き出ている 石灰の色をしたツノ。 また そのツノの出ている具合が さりげなくだから良い。 今まで鬼はあまり見たことが無かったが、 どの鬼も…… なんというか…… ゴツかったw しかし、この鬼は違う。 麻で作られた服から出ている四肢は、細い。 むしろ その鬼は 美しかった。 その方がしっくりきたかもしれない。 少年は、 男が掌を突きだし 鬼が目と鼻の先に来るまで 目が離せなかった。
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