プロローグ

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その、猛火の中心に まだ崩れていない家が 一件だけあった。 周囲は無人であったため だれもそれの存在に 気付きはしないが。 それは倉庫として 使われていたのか、 中には 木箱や皮の袋が ところ狭しと置かれている。 まだ、中身は 入っているようだ。 既に火が燃え移ったり、 黒の塊と化したりしたものもある。 この家の全焼も、時間の問題である。 しかし、そんな中で 火の気はおろか もくもくと充満していく煙りですら 寄せ付けない‘篭(かご)’がある。 その上には 橋渡しをするように 刀が置かれている。 中からは、赤子の――
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