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その、猛火の中心に
まだ崩れていない家が
一件だけあった。
周囲は無人であったため
だれもそれの存在に
気付きはしないが。
それは倉庫として
使われていたのか、
中には 木箱や皮の袋が
ところ狭しと置かれている。
まだ、中身は
入っているようだ。
既に火が燃え移ったり、
黒の塊と化したりしたものもある。
この家の全焼も、時間の問題である。
しかし、そんな中で
火の気はおろか
もくもくと充満していく煙りですら
寄せ付けない‘篭(かご)’がある。
その上には
橋渡しをするように
刀が置かれている。
中からは、赤子の――
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