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ふぅ、と息を吐く。
『緊張が解けた』
というのが正しい。
目を覚ましたときの、
間近にあった男性の顔。
それから、
「大丈夫か?」の後の顔――
今はテント内にいないが
容易に思い出せる。
ゴツく、野性的で、ちょび髭。
短く刈り揃えられた黒い髪。
年齢はだいたい30前後だろうか。
そこまでは、少年が今まで見てきたヒトと
何ら変わった事はない。
だが。
彼の、碧眼。
そして、“突然消えた”威圧感。
前者は、特に問題ではない。
だが、この2つが揃っていると
とてつもない恐怖を感じてしまった。
少年が目を覚ましたときの「うっ」は
そのせいだった。
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