◯◯の虫

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ふぅ、と息を吐く。 『緊張が解けた』 というのが正しい。 目を覚ましたときの、 間近にあった男性の顔。 それから、 「大丈夫か?」の後の顔―― 今はテント内にいないが 容易に思い出せる。 ゴツく、野性的で、ちょび髭。 短く刈り揃えられた黒い髪。 年齢はだいたい30前後だろうか。 そこまでは、少年が今まで見てきたヒトと 何ら変わった事はない。 だが。 彼の、碧眼。 そして、“突然消えた”威圧感。 前者は、特に問題ではない。 だが、この2つが揃っていると とてつもない恐怖を感じてしまった。 少年が目を覚ましたときの「うっ」は そのせいだった。
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