俯瞰天国と弾ける陽気

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「……狡いこと、考えているんだねぇ青龍院君」 「……なんだ、枯木先生ですか」 「そうだ、枯木先生なんだ」 話に夢中になっていて接近に気付かなかった。 年季の入ったジャージ姿の、無精髭を生やした不審人物が、僕達に近付いてきていた。 枯木 茂(かれき しげる) 不良教師。 枯れた天才。 不和学園唯一の魔法が使える教師。 異端のエキスパート。 詳細報告、以上。 「枯木先生、何か用ですか?」 「んな素っ気なくしないでよん。いつもはグラウンド走り回ってる風の子達が、今日はなぜか陰気な数の子になってるんでぇ、心配してるだけじゃないの」 「数の子って何ですか」 「さぁね、語呂が良いから言ってみただけだよん」 「……子供ですね」 「大人よりは良いさ、邪気がないもの」 「そうですか」 ……めんどくさい人だ。 どうにかしてさよなら出来ないだろうか。 他の三人はいつの間にかいなくなってるし。 裏切り者めが。
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