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「……それは屁理屈じゃ」
「理屈には変わりねぇだろ」
「……まぁ」
「なんだよ、さっきから急にへたれやがって。お前もしかして本当はあいつにいなくなって欲しいのか?」
「そんなことは…!」
「どうだかな、今のお前からは勝つって意志が感じらんねー。結局どうでもいいんじゃねーの?」
「僕は、零と離れ離れになるのは嫌です!だけど、壁が高すぎて…」
零が、強過ぎて。
なんでだろう、さっきまではこんなに弱気じゃなかったろうに。
強がっていたのか。
「……目の前を壁が遮るとき、逃げる以外に対処法は三つある」
「……?」
「一つは壁に立ち向かい、乗り越えること。一つは壁を諦め、迂回路を探すこと。一つは壁の弱点を突き、打ち砕くこと」
「……」
「どれを選ぶかは自分次第だが、選ばなきゃ壁は越えられねぇ。いつまでも馬鹿デカい壁が見えてんのはうぜぇだろ?そろそろ消えてもらおうじゃないか」
「……そう、ですね」
消えてもらうって言うのはいささか暴力的だけど。
そろそろ、一回ぐらい勝っても良いはずだ。
「……授業終わったみたいよん。サッサとクラスに帰りな」
「先生、他の生徒完全に無視してましたよね」
「自習だよ、自習。体育祭近ぇんだ、各々やりてぇこともあるだろうよ」
「なんか言い訳臭い」
「うっせぇ、帰れ」
なんという言い草。
まぁ、授業が終わったのにここに居続けるのも変かな。
クラスに戻ろう。
そうして、僕と枯木先生の雑談は終わった。
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