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さてさて、射楽の提案に乗った翌日の話である。
「とりあえずやる種目を決めよう」
「え~、そんなこと言わずに全部やろうよっ」
「でもよぉイラッチ、一つに絞らなきゃ落窪には勝てねぇと思うちや」
昼休み。
他には誰もいないクラスで、僕達は話し合っていた。
もちろん、作戦会議である。
「でも楽しまなきゃ、やる意味ないよ?」
「それはそうだがハッピー君、全部に出てゼロ君に負けてしまえば後悔しか残らないぞ?」
ハッピー君は射楽、ゼロ君は零。
風流語は難しい。
「勝ちにこだわりすぎてない?そんな気持ちで勝ったって楽しくないよっ」
「あのなぁ来々羅よぉ、楽しむってのが目的じゃあないかよ。落窪を学園に留まらせるのが己達のやるべき事だろうかよ」
剛君が言う。
僕もその通りだとは思う。
だけど……
「でもっ、それじゃあ零ちゃんのやってる事と変わらないよ?勝ち続けるだけの日々なんて、絶対につまらないよっ」
僕が言いたい事を、射楽が先に言ってくれた。
……そうなんだよな。
勝ち続けるというプレッシャー。
常に頂点に居続けるなくてはならないというプライド。
そんなものに縛られている零が、何かを楽しむ余裕なんてある訳がない。
零も必死なんだ。
そんな零に勝つことは容易じゃないし、勝ったとしても零の生き方を変えることは出来ない。
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