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声の主は、私と同じく雨宿りした細身の背の高い男性。
一目で分かる高級スーツをなんなく着こなし、眉間に皺を作り空を睨んでいた。
「……ヤバ」
「え?
……あぁ、本当ヤバイくらい凄い雨だな」
つい口から出てしまった言葉に、男はしっかり私を見て呆れた声を漏らす。
確かに、ヤバイくらいの豪雨なのだが、私が言った意味は違う。
鼻筋はスーと気持ちが良い程通っている。
唇は薄いが、そこから作り出される言葉は、なんとも言えない心地好さを感じるハスキーボイス。
それだけでも充分過ぎる程カッコイイのだが、それに加え雨に濡れた髪が、この男の色気を倍増させていた。
それに、その瞳。
細めた目は黒ではなく、グレーだった。
「そ……そうだね。
ゲリラだよ」
なんとか目をそらし、思考を読まれないように話しを合わせる。
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