127人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヤバッ!
濡れたらヤバイんだ!」
雨に濡れてないか、急いで中身を確認する。
中には、圭から託された仕事の資料が入っている。
ファイルに入っていない資料は、奇跡的にまだ濡れていない。
が、バッグはびしょ濡れなので、このままでは資料が危ない。
雨宿りしてる暇ないじゃない。
空を見上げると、さっきよりはいくぶん雨は弱くなっている。
これくらいなら走れるかな?
覚悟を決めた私は、スプリングコートを脱ぎバッグに巻き付ける。
チラッと男見ると、目尻に溜まった涙を長い指で拭っていた。
「私もう行くから、これ使って」
バッグから出していたハンカチを、息を整えている色男に渡す。
最初のコメントを投稿しよう!