第1話

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妹の立場では、そんな兄は自慢の兄だ。 「ハ……クション」 「ほら風邪引いちゃうよ。 早く着替えてきな。 じゃないと、圭さんにまた私が睨まれるんだから」 はぁーい。と生返事をし、苦笑する愛里さんに背中を見せる。 入社して今まで、愛里さんは私の世話役として面倒を見てくれていた。 そのお陰で、今じゃ社内イチの仲良し。 言われるまま、ロッカールームへ向かうとそこには誰も居ない。 そうだった。 結局、遅刻してるんだ。 愛里さんには突っ込まれなかったが、壁に掛かっている時計は既に始業時間を過ぎていた。 急いで行っても、遅刻は遅刻。 だったらゆっくり行こう。 そう、勝手な解釈した私はゆっくりロッカーのドアを開けた。
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