第1話

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その香りに反応して、私のお腹の虫が鳴り出す。 「ほら、突っ立ってないで食うぞ」 ほかほかなご飯を並べるエプロン姿の圭。 しかも、可愛いフリル付き。 どうも、最近のお気に入りらしい。 まぁ、本人が良ければそれでいいんだけどね。 「「いただきます」」 両手を合わせ、声をそろえ箸をつける。 いくら寝坊しても、二人揃って朝ごはんを食べるのが我が家の暗黙のルールだ。 大の男が……。 と、よく言われるが、血の繋がりのない私達には重要な事。 夕食は帰宅時間が違うため、朝のこの時間がとても大事な時間なのだ。 私は育児放棄した親から施設に預けられ、そこから圭の家族として迎え入れられた。
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