第1話

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その頃の圭の家族も、いろいろ問題があったようだが、心が冷めきっていた私には他人事。 目の前で、泣き叫ぶ女性がいても、私にはただの風景としか受け取れなかった。 今思い出しただけでも、背筋が凍る程怖い子供だった。 「あやめ、どうした? もしかして、具合でも悪いんじゃないか?」 「あっううん。 なんでもない、まだ寝惚けてるだけだよ。 ってか、もうこんな時間だよ」 時計を見ると、出勤時間をとっくに過ぎていた。 昔の思い出を思い出すと、いつも周りが見えなくなってしまう。 圭に注意されてるけど、こればかりはなかなか治らない悪い癖。 癖と言うか、一生消える事のない傷かな。 今では笑顔も板に付いてきた。
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