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…《春フェス》特設ステージ出演終了後の、夜の打ち上げ会も終わって時刻は午後11時39分。僕らは居酒屋を出る。
『おーい!わっち、ヤマ…お疲れー』
『秋良もー、今夜ぐらいは早く寝ろよー』
『わははは…うっせーよ』
わっちさん、ヤマさんは今朝と同じく、啓介さんの車で自宅まで送られることに。
『啓介ぇ』
『…ん?何?』
『気を付けて帰れよな』
『あぁ。了解』
僕と詩織は春華さんと…そして、1時間ほど前に《春フェス・実行委員》の打ち上げ会を途中で抜け出て、ここに駆けつけてくれた鈴ちゃんと、4人で固まって雑談してた。
『あ、岡ちゃん来たんじゃない?』
『うん。来た来た』
こちらに向かってくる《おばタク》に手を振る鈴ちゃん。そしてまた、僕らのほうを振り返った。
『ごめんね。1時間しか打ち上げ会、ご一緒できなくて…』
『そんなそんなぁ。わざわざ駆けつけてくれてありがとう。鈴ちゃん』
『また来週、一緒にランチしようね』
車道の脇に停まり、ハザードランプを点灯させる《おばタク》。
『うん。じゃあ気を付けてねー』
『うん。バイバイ』
『バイバイ。鈴ちゃんまたねー』
鈴ちゃんの乗った《おばタク》は再び、ネオン輝く瀬ヶ池の街の中へと走り去った…。
『アンナさん遅いね…』
心配してくれる春華さん。
『春華さんも秋良くんも、今日は疲れてるんだから、先に帰っても…』
『馬鹿言え。お前ら2人だけをここに置いてったらなぁ、お前ら…酔っ払ったオッサン連中に拉致られるぞ?』
『…えっ!?』
僕は詩織と見合った。…それは嫌だ。
『あ!アンナさん来た来たぁ。おーぃ♪』
停車したアンナさんの車に…詩織は助手席に、僕は後部座席に座った。
『アンナさーん、今日は疲れたぁー』
アンナさんとハグする詩織。
『ちょっと詩織…まさか…お酒飲んでないわよね?』
『えっ!?』
僕はドアのガラスを下げた。
『秋良さん、春華さん。ありがとうございました』
『今度また、みんなで派手なこと、やらかそうねッ!金魚ちゃん』
『あははは』
僕は窓から、見送ってくれてる2人に手を振った。
…走るアンナさんの車中…。
『詩織、あなたまだ未成年者なのよ!』
『ごめんなさい…でも、ちょっとだけだし。それに私の20歳の誕生日、来月…』
『んもぅ。仕方ない子ね…』
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