女装と復讐‐完結編‐

2/226
前へ
/467ページ
次へ
…《春フェス》特設ステージ出演終了後の、夜の打ち上げ会も終わって時刻は午後11時39分。僕らは居酒屋を出る。 『おーい!わっち、ヤマ…お疲れー』 『秋良もー、今夜ぐらいは早く寝ろよー』 『わははは…うっせーよ』 わっちさん、ヤマさんは今朝と同じく、啓介さんの車で自宅まで送られることに。 『啓介ぇ』 『…ん?何?』 『気を付けて帰れよな』 『あぁ。了解』 僕と詩織は春華さんと…そして、1時間ほど前に《春フェス・実行委員》の打ち上げ会を途中で抜け出て、ここに駆けつけてくれた鈴ちゃんと、4人で固まって雑談してた。 『あ、岡ちゃん来たんじゃない?』 『うん。来た来た』 こちらに向かってくる《おばタク》に手を振る鈴ちゃん。そしてまた、僕らのほうを振り返った。 『ごめんね。1時間しか打ち上げ会、ご一緒できなくて…』 『そんなそんなぁ。わざわざ駆けつけてくれてありがとう。鈴ちゃん』 『また来週、一緒にランチしようね』 車道の脇に停まり、ハザードランプを点灯させる《おばタク》。 『うん。じゃあ気を付けてねー』 『うん。バイバイ』 『バイバイ。鈴ちゃんまたねー』 鈴ちゃんの乗った《おばタク》は再び、ネオン輝く瀬ヶ池の街の中へと走り去った…。 『アンナさん遅いね…』 心配してくれる春華さん。 『春華さんも秋良くんも、今日は疲れてるんだから、先に帰っても…』 『馬鹿言え。お前ら2人だけをここに置いてったらなぁ、お前ら…酔っ払ったオッサン連中に拉致られるぞ?』 『…えっ!?』 僕は詩織と見合った。…それは嫌だ。 『あ!アンナさん来た来たぁ。おーぃ♪』 停車したアンナさんの車に…詩織は助手席に、僕は後部座席に座った。 『アンナさーん、今日は疲れたぁー』 アンナさんとハグする詩織。 『ちょっと詩織…まさか…お酒飲んでないわよね?』 『えっ!?』 僕はドアのガラスを下げた。 『秋良さん、春華さん。ありがとうございました』 『今度また、みんなで派手なこと、やらかそうねッ!金魚ちゃん』 『あははは』 僕は窓から、見送ってくれてる2人に手を振った。 …走るアンナさんの車中…。 『詩織、あなたまだ未成年者なのよ!』 『ごめんなさい…でも、ちょっとだけだし。それに私の20歳の誕生日、来月…』 『んもぅ。仕方ない子ね…』
/467ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1301人が本棚に入れています
本棚に追加