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『…皆さんに教えたい、今の私の1番の自慢ってのは…詩織ちゃんと金魚ちゃんね、実は私の普段からの《realお友達》なの!』
「えー。いーなー」
「いーなー!」
僕は《はっ!》として、座ったまま少し背筋がピンと伸びた。
詩織だって表情が、わあっと嬉しそうな笑顔に変わってゆく。
なんだかんだ言っても所詮、僕らは素人。今の発言は《鈴ちゃんの自慢》ってより《詩織と金魚の自慢》だ。
僕らが『鈴ちゃんはrealなお友達だよ』って言うより、鈴ちゃん本人の口から自慢されたほうが、何百倍と価値がある。
『先々週も一緒にランチ、食べに行ったもんね!』
『…うん。へへっ♪』
「いーなー」
「いーなー」
詩織は凄く嬉しそうに…そして少し恥ずかしそうに頷いた。
それを確認してから僕も頷く。
…それからしばらく、観客らとのやり取りも時折交えながら、僕ら3人はトークを続けてた。
『けどけど…今日のお二人の衣装、ほんとにいいよねー。金魚ちゃんは男の子の服が凄くカッコいいし、詩織ちゃんは黒と赤ってのが凄く可愛いし』
…って、今はこんな話題。
『みんな見た?詩織ちゃんと金魚ちゃんの背中に大きなね、カッコいい刺繍があるんだけど』
「見てなーい」
「見たーい」
『じゃ、立って観客の皆さんに刺繍、見せてあげよっか。ね』
『うん』
『はーい』
僕と詩織は、くっ付くぐらいに並んで立ち、まずは僕が観客に背中を向けて刺繍を見せる。
「おー」
「金魚のデザイン刺繍だー」
「刺繍カッコいいー」
続いて詩織も背中を向けて、束ね縛ってある後ろ髪を左手で掻き寄せ、刺繍を見せる。
「うなじが白くて色っぽーい」
「手首細ーい」
「後ろ姿、スタイル綺麗ー」
「詩織ちゃん、ウエスト細ーい」
詩織の後ろ姿が恥ずかしそうにモジモジソワソワしだす。…つか、刺繍よりもそっちかよ…。
「‐‐‐、‐‐‐‐?」
『えっ?何何?ごめんなさい…聞こえなかった。もう一回言って』
突然の観客からの質問。それを鈴ちゃんが拾おうとした。
「今日の衣装はー、どこで買ったのー?」
『あー。なるほどね。衣装はどこで買ったのー?って』
『あ…はい』
『えっとね…』
僕らはサッと席に戻り座った。
『後ろのギターのお兄さん達、見えるかなぁ?』
「見えるよー」
「見えるー」
詩織は後ろを振り向いて、秋良さんと啓介さんを目視確認。
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