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僕はステージの真ん中へと進み出て、詩織と微笑んで視線を交わし交代。詩織は啓介さんの隣へと下がった。
僕は一呼吸して、会場に集まった観客の全体を、一人一人までゆっくりと見渡した。
『それでは…次が最後の曲になります。…邦楽ばかりなのも、そろそろ飽きてしまう頃だと思うので、最後は…洋楽を歌って締めたいと思います』
「洋楽?英語の歌詞?」
「えっ!?洋楽!!?」
「何歌うのー?」
僕は目を閉じ、下を向いて一度深呼吸…そしてもう一度頭を上げて、秋良さんを見て頷いて合図。
軽快なドラムとギターの演奏でのイントロが始まった。
それを聞き、『…何?この曲?』と言わんばかりの観客らの反応を、僕は落ち着いて見てた。
「これ…Sk8er Boi…!?」
「アヴリル・ラヴィーン!?」
へぇ…解る女の子が居たんだ。へへっ。凄い。
♪He was a boy
she was a girl
can I make anyone obvious?
He was a punk
she did ballet
What more can I say?…♪
僕はこの歌の公式pvが大好きだった。動画中のアヴリルは可愛いし、このノリの良い曲も最高だし。
そして、この《男装衣装の金魚》が曲のイメージによく合ってる…気がする。
♪He was a skater boy
she said see you later boy
he wasn't good enough for her
she had an pretty face
but her head was up in a space
she needed to
come back down to earth…♪
どうせこの曲で最後なんだ。
僕は歌いながら腕を広げ、ステージ上を跳んで跳ねてクルクル回って…観客らに大きく手を振った。
…ある意味。
観客の女子高生や女の子ら…あのゴスロリ女子軍団までもが…腕を高く上げ、曲に合わせて跳んでた。
それが集まって、観客全体が黒く波打ってて…見てて凄く気持ち良かった。
『みんなーありがとうございましたー』
僕は背伸びをするように両腕を上げて、目一杯大きく手を振った。
『詩織!』
呼ぶと詩織も僕の隣に駆け寄ってきて、右手を上げて一緒になって手を振る。
『みんなありがとー♪』
『ありがとうございましたー』
僕も詩織も、何度も何度もお礼を叫んだ。
…終わった。僕らの1時間ものステージ出演…。
はぁ…疲れた。けど楽しかった…。
『気持ち良かったね!金魚』
『うん。最高』
秋良さん、啓介さん、春華さん…みんなありがとう。お疲れ様。
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