女装と復讐‐発起編‐

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しばらく黙ってラーメンを食べていたら、何だか横からの視線が気になる。チラッとオカマのおっさんを見ると…目が合ってしまった!! 『お兄ちゃんどう?ここのラーメン、美味しいでしょ?』 僕は口の中のラーメンをゴクリと一気に飲み込み、急いでそのおっさんに答えた。 『あ…はい。美味しいです…』 僕の返事を聞いたオカマのおっさん、僕の目を見詰めながら、凄く優しく微笑んでくれた。…気持ち悪いんだけど。 『清ちゃん、ラーメン美味しかったわ。うちのお店にもまた遊びに来てよね。また来るわ』 『ありがとうな!菊ちゃん。毎度あり!』 その着物姿のオカマのおっさんは、旦那さんに1000円札を差し出し、お釣りを貰わないまま店を出て行った…。 僕はラーメン屋を出て、パルコ早瀬ヶ池店の前へ移動。ラーメンを食ってる最中に《やっぱ声掛け、ちょっと頑張ってみようか》と思い直したからだ。 でもパルコ店の前に着くなり、また気が変わった。目の前の路上でナンパしてる男二人組がいる。背も高くてかなりのイケメン達。僕は知ってる…あのイケメンらの事を。 僕の考えの中では、声掛けにしてもナンパにしても、《暗黙の了解テリトリー》というものが存在するんだと思ってる。 彼らは普段はパルコの建物内でナンパしてた。だから僕は彼らのテリトリーに入って声掛けはしなかった。だけど彼らはどうだろう…。今、彼らはパルコ店前の路上…《僕のテリトリー》でナンパをしてる…。 僕は瀬ヶ池の至るところで、他のたくさんのナンパ男達に追われ追われて、最後にこの場所にまで追いやられてきた。…その最後の場所さえも侵された…。 でも、考えてみたら、どうせテリトリーを侵されようがされまいが、僕が僕である限り、声掛けは絶対に成功しないんだ…もう諦めよう。 せっかくパルコ店の前まで来たんだし、ちょっとパルコ店内を一廻り見てから帰ろうか…。店舗内にも綺麗だったり可愛かったりな女性店員さん達や女の子らがたくさん居る。少しは目の保養ぐらいにはなるはずだよな。 …そして…駅と全く同じく、お洒落な店員さんや女の子らのクスクス笑いや、差される後ろ指に耐えながら、たっぷりと3時間、パルコの建物内全階をゆっくりと廻った。 …そして更に女の子達への嫌悪感が僕の中で大きくなった…。
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