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私はああなるほど、と納得しました。
私は残念ながら綺麗とは思えませんでしたが、娘の笑顔をみているとどうでもよく、もっとみせてやりたいと思いましたのです。
この花は赤い色をしていました。
花一輪だけではかわいそうだ、あのときのように花束にしてやりたかったのです。
私たちは自分たちが住む村に帰りました。
赤い花はあの国においてきました。
娘は笑っていました。
私は幸せでした。
次の日、私が目を覚ますと花の咲く音が聞こえました。
ああまさか、咲いたのか、この村に、と思い外へ出ますと、やはり花は咲いていました。
それもたくさんたくさん。
花の中心に娘は立っていました。
笑っていました。
幸せそうでした。
私も幸せでした。
「みて、おはなばたけよ、きれい!」
娘は笑っています。
探し物は見つかったのです。
「先に越されてしまったなあ」
「どうして?」
「私が君に、この花をプレゼントしたかった」
「うふふありがとう、でもまだ間に合うわ。あともう一輪くれない?」
「…ああ構わないよ」
彼女は笑っています。
私は幸せです。なぜかって?
彼女が溺愛する、綺麗な赤い花になることができたからです。
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