素敵な利用者 原田 メイさん

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メイさんは、車酔いが激しいため、送迎時は特に気をつけて運転しなければ行けません。思わず段差でガタンなんてしたら、ペースト状のお食事に胃液がいいかんじに混ざった色とりどりの何かが、車内を満たしてしまいますから。 今日は入浴介助の日です。メイさんは、もちろん全介助。ボタンをはずし、細い肩から上着を下げ、曲がらない腕が痛くないよう気をつけながら袖をとる。 車椅子から抱き抱え、入浴用の椅子に移し替える。 シャワーをかける時、「メイさん、湯加減はどうですか?熱くない?」と聞くと、 「熱いよっ、あああ熱いよっ」と言う。 少し温くしてもう一度。 「あああ熱いよっ!あ$&・∞♂♂♂むあ」 独語が交じり、何を喋ってるのか聞き取れなくなってしまう。(たまにある) あまり熱くない温度で身体を洗っていると、 「あぁぁ熱いよっ%++{〕∞〇〇〇」 シャワーは掛けてないし、まさかスポンジが熱い訳でもない。一体何処が熱いのだろう…と手を止めていると、 ポタリ… ポタリ… よく見ると、真っ黒なう〇ちが浴室の床に滲んでいました。 熱いって…… 処理が済み、入浴も無事終了し、メイさんに話 掛けると… 「あんたあたしの眼鏡どこ行ったかしらないかい?」 眼鏡は昔掛けていたようだか、寝たきり生活になってからは、デイに持ってきた事すらない。 私はメイさんに「眼鏡探してきますね」と言い、ベットから離れた。 今日は車酔いはしなかったけど、下から出てくるとは… まだ仄かに臭くなった浴室脇の洗濯置場に着替えを置き、メイさんの所に戻ると、着替えも、トイレも、一人では出来なくなってしまったメイさんが、右手にスプーン。左手に茶碗を持って、ペースト状のおかずを貪り食べて(飲んで?)いる所だった。 人間の本能。出したら入れる。入れたら出す。は最後まで残っているのかもしれない…。
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