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少女に出会ってから一週間が経った。
毎日飽きずに都市部へと出歩いている。が、威厳の塊のような西欧少女に会って以来、裏通りには行っていない。
神谷「―――明日は特に予定は無いな。最近、例の殺人事件が本格的にヒズミ市に流れてきたらしいから、皆、帰り道は気を付けるようにな。」
ホームルームが終わり、いつも通り志織と共に帰る。
道中、志織は私に聞いた。
志織「まだ調べてるの?」
ちる「うん。もはや習慣になってきたね。」
笑って応える私を、志織は心配そうに見ている。
志織「本当に気を付けてね。ここ最近、毎日犠牲者が出てるから。」
少女と出会ってから毎日、四、五人の犠牲者が『この街』で出ている。
死体の状態は噂だと、刀で切断されたようなものや、バットで貫かれたようなものがあるらしい。
死体というよりは、死骸と呼べるような状態だそうだ。
志織「………正直、もうやめてほしいけど、言っても続けるんでしょ?」
ちる「………うん。」
さすが志織、私の事、理解してる。
ちる「ちょっとだけ近づく事が出来たんだ。」
あの少女と出会った事で…。
ちる「でも、最近、近づいた事で怖くなって、突き詰めてなかったんだ。」
志織「……そう。」
気合いはある。覚悟もある。でも、足りないものがあった。しかし、それも……、
ちる「だけど、今、志織に話して何ていうか………、『勇気』みたいなのが、持てた気がする。」
口にすると恥ずかしいな。
ちる「今日からまた調べまくるよ。」
志織「…そう。ちる が望むなら私は止めないよ。でも、一つだけ言っとく。」
志織の言葉はいつも私の心を暖めてくれる。
志織「気を付けてね。」
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