真琴、ガンバルっ!

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現在由比学で嫌いな人を挙げるならぱ、カエルと並んでコイツの名前があがりま……あがり……あがりま……あれ?名前何て言うんでしたっけ? まぁ、小さいことは気にしないのです。まだ何か話してますが、もう完全に意識の外に追いやりましょう。 というか今気が付いたんですが、あの時昇降口で感じてた視線はコイツだったのでしょうね……たぶん……いやきっと。 美人先生は、ホワイトボードに貼った絵の説明をしています。次の課題は肖像画らしいですね。 「あれ?これはなにかな?っかな?」 床を見ながら不思議なリズムで言葉を紡ぐ……あぁ……ニヒルくん、この人は今この瞬間からニヒルくんで決定です。さて、何かを拾ったようです。 「なになに?……一泊二日……温泉旅行?」 ごく自然に横へ視線を移します。すごく嫌な予感を抱きつつ、ニヒルくんの手のなかにあるソレを確認しました。 「……」 どう見ても、さっき玉木さんに渡されたパンフレットですね。あぁホンット玉木さんのタイミングを恨みます。 授業中なのに手の中のソレへ視線を落とすニヒルくんは、クラス中が前方のホワイトボードと先生へ顔を向けている現在の状況で、かなり目立っています。 「へぇ、旅行かぁ……よし!真琴今度さ!俺と一緒に」 「行きません、ソレ返してください」 ニヒルからパンフレットを奪い取ります。おまけに白い目で睨んでやりました。 あきらかに悄気てしまったニヒルくん。口数も減ってしまい、ただただ前方の先生を眺めはじめました。 ……少し、可哀相だったかな? 「……気……落としちゃいましたか?」 折角ニヒルくんに気を使った発言をしたのに、当の本人が全然気付かず、少し間を置いてから「え?俺?」と自分を指差し一気にテンションが上がったみたいでした。 声もそこそこ大きかったため、美人先生がチラっとこちらに目を向けてきます。 「真琴……それはもう……一種の告白と取ってもいいよね」 「もういいです、なんでもありません」 ここまでポジティブな人、国内を探してもそうそう見つかるもんじゃないですよ。 とその時、教室前方のドアよりヒョコっと顔が出てきました。どう見ても玉木さんです。
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