真琴、ガンバルっ!

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「真琴様、先程の話なんですが……返答期日が早まりまして……ご友人は決まりましたか?」 コソコソ話す玉木さんは、およそ身長からは考えられない低位置より顔を覗かせています。自然と上目遣いになり、少しキュンとしました。 「真琴真琴」 ニヒルくんは突然の変な登場をした玉木さんを警戒しながら、これまたコソコソ話してきました。 これは非常によろしくない状況ですよ。 「……真琴様、こちらの男性は?」 ニヒルくんに視点を合わせ、軽く会釈している玉木さん。説明をしようとしたその時、当のニヒルくんが何を思ったか突然口を開きました。 「はじめまして、真琴の恋人です。神谷といいます」 開いた口が塞がりません。いつのまに話がそんな事になりましたか? 「すいません玉木さん、この子妄想癖があるんです。気にしないでください」 しかし、そんなわたしの声も届いてないのか……突然「ふむふむ」と頷きはじめ、なにかを閃いたようです。 「真琴様、では神谷さんを第一希望として登録します。コンピューターによる二次審査を経まして決定となりますので、決定しましたらまた伺います。でわ後程」 「ちょ……」 言うなり顔を引っ込めた玉木さんは、わたしの反論も聞かずどこかへ走っていったようでした。 困った……これは困ったぞ。 とりあえず隣のアフォは放っておいて、後で玉木さんにちゃんと話そう。 授業は着々と進んでいて、玉木さんと話していたわたしは完全に置いてけぼりです。今からでも遅くない!ちゃんと授業受けよう。 と、またしても隣のアフォが話しかけてきました。 「温泉旅行……楽しみだね!」 ……今この瞬間、日本でわたしほどイラッとした人はいないと思います。 「言っておきますけど、あなたは選択肢に入ってませんから」 「またまたぁ」 あぁ、ワールドクラスに格上げです。 これはもう誠に頼んでこらしめてやらなきゃ分かんないかな……と思った午後一の授業でした。
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