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カーテンの隙間から差し込む陽の光……と思ったら付けっ放しだった電気の光でおれは目を覚ました。と同時に眠気眼で枕元に置いたブタさん時計を見る。
「おいおいブタって……どんなセンスだよ……やっぱ失敗だったかな……っと!やべ、遅刻だ!」
急いで顔を洗って着替える。着替えながらバターロールを1つ頬張り、カバンを持って家をアトにした。
マンションから学校まで歩いて10分。今更ながらなかなかの立地条件だ。と、反対側の歩道を歩く女の子が笑顔で手を振ってきた。
「おっはよぉ誠ぉ!あれれ?今日も私、早すぎたのかな?アハハ」
「……渚ちゃん、とりあえずおはよう」
この子は斎藤渚ちゃん。昔からの友達だ。
「あれぇ?どうしたの?元気ないよ誠!」
道路を渡ってきた渚ちゃんは、おれの顔を覗き込みニヤニヤしながら言ってくる。
「べつに……で?昨日のおれはどんな感じだった?」
「ん~?いつもと変わらない可愛い真琴ちゃんでしたよ!」
はぁ、なんかコイツと喋ってると2倍疲れるな……。
「それにしてもさ、もっとみんなに訴えかけようよ!まだ誠の話大半の人が信じてないよ?」
「こんな話、信じないのが普通だろ?おれなんか18年経つのに今だに信じれないよ!」
「そうすると……やっぱり私と慎吾だけかぁ。ま!今までどおりうまくやっていきましょ?」
「今までどおりかぁ……すまん、涙出てきた」
2人並んで大学を目指す。時間は意外とヤバいのに、おれも渚も慌てることはなかった。
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