真琴、ガンバルっ!

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流れる不変の時間という波、驚くほどの虚無感に支配されながら眼を閉じます。 ふふふ、美樹ちゃん…………こうなる事はあの時の「130円」発言から分かっていた事なのだよ。そんなね、いつもいつも「むむぅ、確かに」ってなると思ったら大間違いなのだよ。 閉じていた眼をゆっくり開け、どや顔してふんぞりかえっている美樹ちゃんを見据えます。 ふ……この顔はもう確信していますね。わたしが泣く泣く肯定する事を……甘いな美樹ちゃん。わたしだって学習できるんだよ? 静かに溜め息を吐き、小さくはにかんで口を開きます。 「むむぅ、確かに」 「でしょでしょ?はぁ、私はいつからまこちゃんのキューピッドになってしまったのか!」 ハッハッハと笑う美樹ちゃんに帰り支度を手伝ってもらい、一緒に校門を出ます。 まだ午後3時前っていうのもあってか、あまり人の姿が見当たりません。たまに美樹ちゃんとウィンドウショッピングする洋服やらアクセやらを取り扱っているお店にも、いつもの人だかりはありませんでした。 「まこちゃんまこちゃん」 いつもの駅へ向かう分岐点に着くと、美樹ちゃんは声をかけてきました。 「何?」 「まだ時間早いからさ、今日こそまこちゃんの家行ってもいい?」 「今日こそ」という言い方からも分かるとおり、わたしは今まで美樹ちゃんを家に連れていったことはありません。いえ、美樹ちゃんに限らず誰も……渚と慎吾くん以外は家に来たことはありません。 それは誠と約束をしているのです。「お互いの友達(慎吾と渚)に関する法律(仮称)」に明記されている特記事項で、おそらく誠も遵守している事でしょう。 「でもさ、美樹ちゃん帰り遅くなっちゃうよ?また今度がいいと」 「何まこちゃん!?帰り遅くなるって!」 「うん、多分だけどお互い考えている言葉の意味に大きな違いがあるよね」 おおげさに笑う美樹ちゃんの顔を見ながら悩んでいますと、美樹ちゃん後方目測100m程に渚の姿を発見しました。 「あ!渚ぁ!」 「ん?」という擬音がぴったりな風に美樹ちゃんが振り返ります。 本を読んでいたため、少し遅れてこちらに気が付いた渚は「おぉい」と手を振り返してくれます。 頼もしい助っ人、渚の登場は現状これ以上ない効果を発揮してくれるでしょう。 美樹ちゃんと挨拶を交わす渚を眺め「これで何とか乗り切れるかな」と、安心してしまったのが運の尽きでした。
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