真琴、ガンバルっ!

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「まこちゃんと同性同名の男子が学校にいるって知ってた?」 遂に!遂に美樹ちゃんの豊富な知識が、触れてはいけない領域にまで手を伸ばしてきました。 「私思うんだけど」と目を瞑り、腕を組んで考え込む美樹ちゃんは、暫しの沈黙を挟んでポンッと手を叩きます。 「まこちゃんさ」 「え!?同性同名!?知らないよ!?うん、知らない……へぇ……同性同名かぁ……へぇ」 もういいや……全てをさらけだそうとするわたしを見て、渚が割って入ってきてくれました。 「あ、それ知ってる。間宮誠でしょ?」 ……うっひょぉぉうぅ!まさか味方からのネタバレ、ソレだったらわたし自身から言ったほうが傷は浅いよ? もう目を丸くして渚を見つめます。頬に当てた両手からも心臓の音がうるさく聞こえてくる、そんな気がしてしまうほど鼓動が暴れています。 もうこれは心臓耐えられないんじゃないかな?そう思ったその時、渚がため息混じりに話しだしました。 「全部話すとややこしいんだけどさ、まず言っておくと真琴と誠くんは同い年の従兄らしいの。真琴も高校まで知らなかったらしいわ……え?聞いた話だと彼休みの日は朝から晩まで学費稼ぎに行ってるんだって。えらいよねぇ」 ……渚っていったいなんなんだ?何かしら重要な暗躍機関に勤めていて、そこの職業柄話を作るのがうまいとかですか? 尊敬と若干の猜疑心から、渚の顔を直視できません。あ、これが恋?…………って違いますから! 美樹ちゃんはわたしへの質問がまったく意味を成さない事を把握したのか、渚に続けて質問をしていました。 体中の筋肉という筋肉が一度に弛緩してしまいます。いまの渚の話は後で裏を合わせておくとして、今は美樹ちゃんが早く洗面所へ消えるのを待つことしかできません。 情けない……自分でかわす位の度量を持たないと、先に迫った旅行なんてこなせるワケが無い。しかも何故かニヒル……思い出すだけでも腹立たしい。 「真琴真琴……どうしたの怖い顔して?」 渚が心配そうにわたしを見下ろしています。本当だったら渚か慎吾くんを誘うつもりだったのに……たぶん誠も同じ考えでしょう。 「すいません、ちょっと考え事してました」 「そっか」 いつもと変わらない渚を見て、少し泣きそうになっていたのは渚には秘密なのです。
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