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ジャックは地元の村から一時間をかけて移動し、ようやく隣町へと辿り着いた。
しかし、町の様子がおかしいことにジャックは気付く。
閑散とした町。ひと一人見つからない、異常な程に静まり返った町が広がっていた。
「何なんだよ、これ……」
茫然としながら呟く。
瞬間、強い突風が吹き荒れ、思わずジャックは目を瞑った。
そのせいで当然ジャックの視界はブラックアウトする。
風が止み、再びジャックが目を開くと、一つの人影が現れていた。
「迷える少年よ、私に剣を委ねてみる気はないか?」
凛とした、綺麗な声が人影があるほうから聞こえる。
人影はやがて人の姿となり、それはフード付きのコートを来た人間だった。
声からして、女性なのだろう。
「あなたは、一体……?」
ジャックはその人間に尋ねる。
「名乗るほどの者ではない。様々な町を練り歩く一端の旅の人間だ。呼びたくば、そうだな……『マリア』とでも呼べ。呼び捨てで構わぬ。私の仮の名だからな」
それが、『勇者』ジャックと『女剣士』マリアとの出会いだった。
「仲間に、なってくれませんか?」
唐突にそんなことをいうジャック。空気を読んでくれ。
「なるわけないない。こんなヘタレ、相手にしないでよ~?」
イリアはこのマリアという人間が出ることを知らなかった。当然のことながら、マリアは改ざんの範疇外だ。
予想外の人間が登場した為、イリアは祈るほかない。
「…………名前を一応聞こうか」
「ジャック。ジャック・ハルベルト。魔王イリアを倒す為に旅につい先ほど出たんだ」
マリアの質問に、素直に答えるジャック。
マリアは一旦思考し、数秒後に答えを出した。
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