勇者はリセットが使えるのに魔王さまはリセットが使えない罠

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「勇者にしては幾分頼りないし、ぶっちゃけてしまうと、弱い。だから私がその根性ごと叩き直してやろうと言っているのだ」 自らを理解していないジャックに苛立つマリア。このままだとたった十数ページでジャックが死んでしまう。それだけは避けたいところだ。 が、人間というものは危険が押し迫る時は第六感により感知することができるようで、惜しいことにジャックは怒りのオーラを感じ取った。 「け、剣を委ねるってどういう事だよ?というか貴女は本当に誰なんだ?」 「私がお前に剣術を教えてやる、ということだ。私の事は気にするな。お前のような弱者を救済するのが私の仕事だ」 フードのせいで表情は余り見えないが、口元が綻んでいるのがジャックと、ディスプレイ越しにいるイリアは確認できた。 「私の仕事が一つ減りましたぁ!やったね♪」 回転する椅子でイリアは回転し、嬉しくなったのかどんどん加速していき、結局自滅した。 「ふえぇーっ……。気持ち悪いよぉ……」 頭の弱い魔王さまはさておき、ジャックはその間にマリアの修行を受けることを決意し、その旨を伝えていた。 それに対し、マリアは 「了解した。私も出来ることはしてやろう」 と言って、剣を構えた。 黒く光るその剣は見るからに抜群の切れ味で、剣の上に乗った何かが二つに割れるというような設定が付きそうなものだった。 「早く来ぬか。お前の性根、叩き潰してやる」 案の定、ジャックはビビって動けなくなっていた。 小型の魔物でビビっているぐらいだから本当に情けない。
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