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「マップを変えればいいのっ!魔王さまは勇者のためならエンヤコラ、何でもやっていいの!」
「良くいえばそうかもしれないけど、お母様はただ単に『職権濫用』をしているのでは?」
イリアは娘の言葉に驚いたのか、それとも感心したのか。
少し固まり、無言でうなずくも、思考の末にとんでもないことを口にした。
「『しょっけんらんよー』って、何?一枚の食券で何回も同じものを食べようとすること?
私はそんなことしてないよ?」
今度はメグが固まった。まさかそんな切り返しがあるとは思っていなかったのだ。
そして考える。ただひたすらに考え、秒針が半回転しかけたその時、ようやく答えを出した。
「お母様、食堂だと食券は回収されます」
………………………………。
沈黙が流れた。
マイクを通して流れる、のどかな村の一陣の風。
まだ昼間というのにカラスの鳴き声も聞こえ、寂寥感を引き立てている。
「えっ、そうなの!?」
そして沈黙を破るかのようなイリアの声。
部屋の壁で反響し、少し虚しさが込み上げてくる。
「え、えぇ。実はそうなんですよ。食券濫用を防ぐために…………です」
ついにメグはイリアに精神的な意味で負けてしまった。
というより、イリアに勝てる人間がいるのか些か疑問である。
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