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「それよりお母様。私が前々から気になっていたのですが……」
「なになに~?」
「何故、民家をずっとモニターに映しているのですか?勇者は何処に?」
ああ、それね、と言ってイリアは両手を合わせる。
「この家の中にジャックが居るんだけど、流石に家の中にはカメラを入れられないから、ここで固定しているわけ」
メグはああ、と声を出し、それなら仕方ないですねと納得したように頷いた。
「しかし、ずっとこの状態なのですか?随分と物漁りが長いようですが」
「それがね、女の人と一緒に入っていったわけ。怪しいでしょ!?」
イリアのその言葉を聞いた瞬間、メグは驚いたような表情を見せた。
「まさか。もうパーティーを組んだのですか?お母様、まだ仕組んではいないですよね?」
「それはそうだよ。こんな早く仲間を追加させる訳、ありませんよ」
変わることのない画面を一瞥するイリアとメグ。
不思議そうに画面を二人は見つめていた。
「それよりお母様。私は相談があるのですが」
その言葉を境に表情が一変、両者の顔が真剣なものとなる。
「勇者のことなら、許したでしょ?」
「いえ、そうではないのですが、それに関連して、ということです」
イリアも何だかんだ言ってメグという女の子の母である。いくら追い出したからと言っても、やはり娘の事は聞かざるを得ない。
「私のお父様は、どこに……いるのですか?
お母様は私が大きくなったら教える、そう仰った筈です」
真剣な、眼差しと口調。
メグのその表情に顔を歪ませるイリア。
イリアは自分の周りにある機械類を一通り確認してから再びメグに向かい、話し始める。
「まだ、メグは大きくなってない。確かにあの人の事も気になるとは思うけど、ね?
私に反抗するようじゃ、大きくなんかなってないしね」
「それはそうですが……!」
正論のような、正論でないような曖昧なこじつけでメグの願いを聞き捨てるイリア。
それに対し、メグは不満を隠しきれずにいた。
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