勇者がヘタレなので一式の装備を初期から揃えさせておきたい

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イリアは鍵が掛けられた部屋へと向かい、胸ポケットから鍵を取り出して、解錠して入る。 入ると、七つの魔方陣が描かれている不思議な空間が広がる。イリアはその魔方陣うちの一つの上に立つ。 するとそれに魔方陣が反応し、眩いばかりの光を発する。 そしてイリアはその場から光となって散ってしまった。 「ミーナ、お元気してますかぁ?」 地下の牢獄に鳴り響く、甲高い、似つかない声。 イリアはたった一つしかない独房に近付く。 「この通り、元気です」 天井と壁につくられた両手両足の枷によって拘束された少女が如何にも機嫌の悪そうな声で応答した。 この少女の名前は『ミーナ』。人質として監禁され、今回ジャックがイリアを倒しに来るのもミーナを助けるためである。 というのも、ミーナはジャックの幼馴染みであるからだ。 「そっかぁ、元気してるならいいやぁ。ご飯は後で買ってくるから待っててねぇ?」 イリアは「魔王さまのお買い物ターイム♪」と言いながらその場を後にした。 「朝ごはん……和食だといいのですが」 完全にイリアが出た後に、ミーナはぼそっと呟いた。 管理棟に戻り、ディスプレイをチェックするイリア。 「んーとぉ、フラグ1が処理完了……っと。村から出るまでフラグをあと二個処理しなきゃいけないからぁ……」 画面に出ているフラグ一覧とシステム管理プログラムを一通り眺め、 「よし、間に合いそう。行っちゃいましょーっ!」 リモート操作へと切り替え、机に置いてあった携帯を右手に持ち、再び部屋を出た。
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