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「今日は洋食セットが安いよぉ!和食セットも少々値は張るが食材はいいものを使ってるからオススメだぁっ!」
この弁当を売る男の料理はかなり美味いと評判だ。値段もお手頃、までとはいかないが、値段以上の価値があることは断言しよう。
「洋食セットと和食セット、一つずつ下さいっ!!」
「毎度ぉ。1000EXだよ」
今の金銭感覚で言えば、一円=1EX(エクス)である。
つまるところ、円=EXと考えてもらえば簡単だ。
イリアは『1000EX』と書かれたお札を渡し二つの弁当を受けとると、「また来るねぇ!」と言って城下町を立ち去った。
お弁当を持って城へと戻るイリア。しかし……
「ふえぇっ……疲れましたぁ」
あまりにも体力が無さすぎた。
この魔王さま、それでも自分が一番強いと思ってるから厄介だ。
しかもそこそこ強いし。
「魔法使っても階段上らないといけないし、迎えに来てもらお……」
携帯を開き、短縮で城へと電話をかける。
『只今、電話に出ることが出来ません。ピーという電子音――』
「嘘つきーっ!誰かいるでしょー!?」
イリアは電話の送話口に向かって叫んだ。
確かに城から出る前には人はいた。守衛兵だけだが。
「………………電話に出れる人は居ないのを忘れてた☆」
てへっ、と一瞬だけ笑うもその笑顔は一瞬に崩れ、軽く泣きそうな顔になっていた。
――結局、イリアの体力からして歩くことは絶望的なので、魔法で行けるところまでいくことにした。
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