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まだ仄かに夏の暖かさが残る9月。
一人の女子高生が屋上で彼女の母親が最近毎日持たせる熱いココアの入った水筒を置いて、フェンスにもたれ掛かっていた。
陸上部の走る姿を目で追いながらため息をつく。
「ハァー‥…」
彼女の名前は、萩原 夏都(ハギワラナツ)。この話の主人公である。
ここ白鳥女子高校の二年生であり、副生徒会長。
高校からここに奨学生として入学した生徒で、この学園を出ればどこにでもいる女子校生だが、どこか人を引き付ける力を持っている。
そのせいか、突然あまり関わりのない上級生の白鳥 早羅(シラトリサラ)に呼び出され、「副生徒会長になれ」とほぼ強制的に生徒会に入れられて(※訂正)→入って、色々と面倒事(※訂正)→仕事を任されたり、何かと損な役職(※訂正)→副生徒会長にさせられた。
また、よく向かい側の鷹鷲男子高校の生徒と一緒に登校する様子や年齢差のある先生と親しいことからも、男女・年齢を問わず、その力が発揮されているようだ。
しかし、そんなだから女子達は男子………鷹鷲男子高校の生徒と仲が良く、先生とも仲良しな『副生徒会長』の夏都を見て、「校内に男子が遊びに来れたりして…(夏都をチラッ)」「先生に頼んで文化祭とかあっちに行けるかなぁ(夏都をチラッ)」「いっそ共学にすれば?(夏都を…以下略
先に言っておくが白鳥女子高校は幼小中高エスカレーター式の言わば、不純じゃない清楚なお嬢様を育てる学園(金持ちばかり)で夏都のような奨学生として高校から入学した生徒はまずいない=(つまりは)異性との交流(無論家族以外で、先生達は全員女性)がある生徒は夏都を置いていないと言ってもいい。
…で、ほとんどの生徒が鷹鷲男子高校との共学化を夢見て、いつの間にか本当に共学化になるという噂まで流れ出した。
もう職員会議やPTAでも否定せざるを得ない状況になり、残るは学園の権限を持つ生徒会が頼りになるだけとなった。
勿論だが事の元凶(?)である夏都は、最近毎日のように一年から三年に共学化を要求され、ストーカーされ、精神的にも病み始めている(トイレットペーパーを手にぐるぐる巻いていって「ペーパーぐるぐる…ぐふふっ」という声をトイレでよく聞くことがある→白鳥女子校の七不思議の一つになっている)。
気分転換に屋上に一人でいるのは、言うまでもない。
しかし夏都にはどうしても共学化にしたくない理由があった。
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