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実は夏都にとって男との思い出は苦いものでしかなかった。
小学2年の時―。
幼なじみのハジメ君。
幼稚園の頃からずっと仲良しで、二人でいるのは夜寝る時以外でトイレもお風呂も一緒に入って行く程(ハジメ君は両親の帰りが遅いため帰ってくるまで萩原家で待機…というのもあるが、やっぱりトイレやお風呂は恐がって夏都がついていってあげる感じ)。
しかし、さすがに小学2年にもなると女の子と一緒にいると他の男の子にからかわれたり、イジメられたりする。
である日の昼休みのこと。
「ハジメ君、一緒にオママゴトしよっ」
夏都がハジメ君をオママゴトに誘った時だった。
彼をよくからかい、イジメている男子がそれを聞いて…
「ハジメ君はオママゴトなんかやるんでちゅかぁ~」
「だっせぇー」
とクラス中に聞こえるように話した。それを聞いた女の子達もクスクス笑って、ハジメ君は俯いてしまった。
それを夏都は
「ちょっとあんたら…」
と怒ろうとした時
「そんなことやるわけないじゃん、こんなブスと」
こともあろうことかそれを言ったのはハジメ君であったのだ。
気が強く、男子達に一目置かれていた夏都に「ブス」と暴言を吐いたハジメ君を男子だけじゃなく女子も一瞬唖然としたが、しばらくすると男子達が寄っていき
「ハジメかっこよかったぞ!」
「ごりわら(萩原)にあんなこと言った奴なんてお前が初めてだよ」
「なぁ俺らと一緒にサッカーやろうぜ」
と男子達がハジメ君に群がりだしたのだ。
一人取り残された夏都はハジメ君に裏切られたという気持ちでいっぱいだった。
それからの話をすると夏都は女の子と行動するようになり、ハジメ君は男の子と遊ぶようになり二人はその時から共に行動することはなくなった。
そして中学生になったハジメ君はかなりのチャラ男で、危ない連中とつるむようになったが、夏都には知ったこっちゃないという感じであった。
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