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あの日、夏祭りの帰り道。
慣れない鼻緒が痛くて、ひょこひょこと歩いていた私。
「足、痛いの?」
暗がりからの声に飛び上がって振り向くと、……キミがいたね。
この顔、知ってる。
同じ学園の中等部の、生徒会長。
「うち、どこ?」
「……え?」
「そんな歩き方じゃ、朝までにあの角までが精一杯」
キミはそう言って、幼い笑顔を私に向けた。
「送る。ほら、つかまって」
差し出される手。
おずおずと手を重ねると、鼓動がおもしろいくらいに跳ねあがった。
そう。
……あの夜に、私のコイは動き出したの。
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