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「……あ……あの!」
「遠慮はいらない…俺が手伝いたいから手伝った。……ただ、それだけだ」
とまた微笑みかけられ…
「………有難うございます……あ…あのー……でも私より遼の方を……」
とチラリと遼が持つ大量の本に目をやると
「…あ?俺に手伝いなんているかよ…ほら、さっさと行くぞ?」
フンッと鼻を鳴らして背を向けてしまった…。
「……さすがだな…無理して身体がフラついているにも関わらず意地を張るとは大したものだな…」
「…………狐邑……それは嫌味か?」
「…いや?……ただ…剛情な奴だなと言っただけだ…」
「……嫌味じゃねぇーか!」
それから終始
喧嘩になりかねないギリギリの会話をしながら
教室に着いた……。
「あれ?祐一先輩じゃないっスか?」
教室に入ると同じクラスの拓磨が祐一の姿に驚き声を掛けてきた。
「……祐一先輩もコレを運ぶのを手伝ってくれたのよ…」
「……随分と重たそうにしていたから見かねてな…」
「あぁ、なるほどっス。それより………なんでそんなに息切らせてんだ?狗谷……」
事情を知らない拓磨が苦笑いを浮かべながら聞くと
「………黙ってろ…殺すぞ赤頭……」
いつもと変わらず素っ気ない態度で自分の席にへと戻る遼を見て…
「………本当…嫌味な奴だよな……アイツは…」
そう拓磨が小さく呟いたのだった───。
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