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黒宗 秋──────。
転入してきたばかりと言う事もあるが
あまり掴み所のない、不思議な少年である───。
「僕は、黒宗 秋です。」
「ここに来たばかりで分からない事が多いですから宜しくお願いしますね。先輩方」
そして微笑む彼の笑顔は─
何も知らない純真無垢な子供のような笑顔で──
不思議と人を惹き付ける力があった─────。
「……あいつ…何か不思議な感じがしますよね…」
「あ?ただの転入してきたばっかの新人じゃねぇーか!気にするこたねぇよ♪」
拓磨が重苦しく呟いた言葉も
真弘の軽い言葉によって打ち消される。
「…狗谷先輩はどう思いますか?」
「…………興味がねぇ…俺は誰とも関わるつもりなんかねぇよ」
「おやおや……私達と関わっている今では、言う言葉では無いと思いますよ?狗谷くん?」
「…………チッ…一々うるせぇ奴だな…」
「そういう大蛇さんはどうなんだよ?」
真弘の不意の質問に
皆の視線が卓に集中するが…
「残念ですが……私は彼とお逢いした事がありませんので、何とも言えませんね…」
いつもと変わらない読めない笑顔で答えが返ってくる。
だが─
「あまり油断しない事に越した事は無いだろう…」
「………祐一先輩…」
いつの間にか目を覚ました祐一が慎司の肩に手を置きながら静かに語り始める──。
「俺達は特に注意しなければならない。もしも…
玉依姫に何かあった後では遅いからな………」
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