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「………そうですね。
狐邑くんの言う通りだと思います。
皆さん、くれぐれも油断しないように気を付けてくださいね?」
卓が少し黒い笑みを浮かべて言うと周りは静かに頷いた。
「慎司は同じクラスだし、特に気を付けた方がいいだろう…」
「……分かりました。
細心の注意を払うようにします。」
「……………………」
そんな中、一人浮かない顔をした珠紀は終始、黙っていた───。
─自室─
1日が終わり皆が帰った後、
珠紀は自室で布団に横たわっている……。
「ニー…」
元気の無い珠紀を励ますかの様に自分の頭を珠紀のおデコに擦り付け
鼻先をチョンと嘗めるオサキ狐。
「…おーちゃん……」
「…ニー」
「………本当にあの子は一体誰なんだろうね……」
「ニィー?」
『ねぇ…君が望んだ世界は素敵だね……』
『これは…───から君へのプレゼントだからね?
………忘れないでよ?』
「…………………………………っ」
頭が割れそうに痛む─。
顔はハッキリと思い出せないのに──
声はしっかりと響き渡る───。
「ニィーッ!ニィーッ!!」
あ……………
私を───────。
『救いに来た』の─────?
「ニィーッ!!!」
そして
その日は
そこで記憶が途絶えてしまった────。
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