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翌朝───。
昨夜の頭が割れそうに痛んだはずなのに今朝は何とも無い───。
あれは何───────?
頭を押さえて寝起きの状態で考えるが上手く思考がまとまら無い………。
変に考えても時間が経つだけた。
気持ちを入れ替えて
学校に行く準備を始めるのだった─────。
「あ、おはようございます。珠紀先輩」
後ろから慎司に声を掛けられ足を止めた。
「おはよう。慎司くん」
いつも一緒に居るからだろうか?
心細い時に守護者達の顔を見るだけで前を向ける気がした──。
「あ、拓磨先輩ー!」
慎司が拓磨の姿を見つけ元気よく手を振る。
それに気付いた拓磨も軽く手を振り、足を止めて待ってくれていた。
「おはようございます。拓磨先輩。」
「ん、はよ…」
「おはよう。拓磨」
「おー…おはよ」
まだ眠たそうな拓磨と並んで一緒に登校していると…
目の前にどうやら道に迷ってしまった感じの少年が居た────。
近付くにつれ確信に変わる。
あれは────秋だと。
「あれ……黒宗くん、どうかしたの?」
慎司が声を掛ける。
すると、ゆっくり振り向き
「…………学校って………こっちだっけ?」
と、学校とは逆方向を指さして突っ立っていた。
来たばかりとは言え、
そこまで分からなくなるものだろうかと思ったが…
「お前……もしかして方向音痴…」
「…黙れっ!!!//」
拓磨の言葉に顔を真っ赤にして反論するも…反対に固定する羽目になり
「……はぁー……仕方ねぇから学校までなら連れて行ってやるよ…」
「……あ………有難う…」
その際にチラリと秋と珠紀の目が合ったが
すぐに反らされてしまった………。
分からない────。
彼が分からない────。
だが、
『近付きすぎてはいけない──』
何かにそう
強く言われている気がした────。
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