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「……来たのか」
と優しい声色で優しく微笑み掛けてくれる祐一先輩に
「………フン…言い出しっぺのくせに遅いじゃねーか赤頭」
いつもの様に嫌味ったらしく言ってくる狗谷の姿があった。
「…うるせぇ……こっちにも色々と都合があるんだよ…灰色頭。」
狗谷の言葉に眉間に皺を寄せながら適当な場所に腰を落ち着かせ、静かにお茶を呑む祐一先輩の方に目を遣り──
「にしても…さすが祐一先輩は早いっすね。」
「……そうか?俺が来た時には、既に狗谷はいたが……」
その言葉に自然と狗谷の方に視線を向けていたが…
すぐに嫌味な顔に変え
「ははーん………狗谷がねぇ………ま、遅刻するよりはマシだよな…」
「あん?……何が言いたい?赤頭………」
「…べっつにー。そう、怒んなよ……寂しかっただけなんだろ?狗谷…」
ニヤニヤとしながら冗談、いや半分、本気を混ぜた言葉を言い…
「……てめぇ……喧嘩売ってんのか?」
いつにも増して、狗谷の眉間の皺が深く刻まれた。
そんなピリピリとした空気を
「…二人共、落ち着け。話がややこしくなる…。」
静かで……且つ、冷静な声が割って入る。
この人が入ってくるだけで
ピリピリしていた空気も
修まるのだから不思議で仕方が無い…。
「…ふふ、さすがは狐邑くんですね……一瞬にして空気を変えてしまうとは、さすがです」
と、いつの間にやら部屋の入り口に立っていた大蛇さんが笑顔で言った──。
(あんたも…一瞬で空気を変えるけどな……)
たぶん…………
この部屋にいた全員が俺と同じ事を思ったと思う。
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