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「おい、拓磨!
これは、こんな感じでいいのか?」
「あ、それは…っ!」
真弘先輩の呼び声に急いで傍に行く。
生憎、俺の提案を却下する人はいなくて………。
簡単に受け入れられた。
むしろ………
皆が同じ事を考えていたらしい………………。
「しかし……たまには、こう言うのも、悪くはないな…」
「そうですね。こう…守護者の私達が集まり、何かをする事は本当に久々な気もしますね。」
祐一先輩と大蛇さんには細かい作業を頼み、手際のいい二人は着々と片付けていく。
そんな中──────。
「……おい、鴉取…それは、そうじゃねぇだろ?」
「は?!違うのか!?」
「あぁあ!真弘先輩っ!それは、そうじゃなくて、ですね!!」
ドジで、自分勝手な真弘先輩は俺の話も聞かず、好き勝手に手を動かし
完全に間違った方に進んでしまった…。
「た、拓磨!!言っとくが、俺のせいじゃないからな?!!」
「……ハッ…完全にてめぇのせいだろが…バカかお前は?」
「元はと言えば狗谷が!」
「言い合いはいいですから、作業に集中してくださいよ!!!」
ダンッと激しい音を立て
真弘先輩と狗谷の間に無意識に怒声を向けてしまった。
『わ…………悪ィ……』
珍しく俺の怒りに満ちた姿を見て
大人しく謝罪の言葉を紡ぐ真弘先輩と狗谷の両者。
そんな俺らの様子を見ていた─────
「………まったく…簡単な作業もちゃんと出来ないとは………守護者として、恥ずかしいですね」
「……………人の話を聞いていない先輩達が悪いんですよ…」
「………それにしても…拓磨があそこまで怒るとは…珍しいな……」
祐一先輩の言葉に慎司と大蛇さんは声を揃えて
『……確かに。』
そう小さく呟いたのだった……。
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