#3.5、居場所。

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居間に着いた時に 珠紀が入り口付近で立ち止まり 「私の為に有難うございます」 と、ペコリと頭を下げ 礼を言ってきた。 礼が言われたいからしたんじゃない…… 俺はただ──── 「んなこと気にすんなって、取り敢えず今日はいっぱい楽しめよ。」 そう言って軽く肩を叩いてやってから 適当な場所に腰を落ち着かせた。 祐一先輩や真弘先輩… 他の皆も珠紀の笑顔を見て 安心したような顔付きで 頷いたり、笑い返したりしていた。 トランプをしたり、他愛ない話をしたり、騒いだり… 皆で楽しい夕食も終わらせて 腹もいっぱいになり 遊び疲れた真弘先輩は大の字になりながら 周りのことは気にせずに寝だすし… 祐一先輩も壁に凭れて 目を瞑っている…いや、 あれもたぶん寝ているのだろう………。 狗谷は一人、縁側に座り 月を見上げていて… 慎司と大蛇さんと珠紀と美鶴は テーブルを囲みながら 楽しそうに雑談をしていた。 学校で最近見ることの無かった 珠紀の笑顔を今日は 多く見れて、俺はただ、純粋に嬉しかった。 そんな時 皆と少し離れた場所で 外を眺めてた俺は ふと黒宗 秋のことを思い出していた──。 そして、あの時の 珠紀のことも────。
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