#3.5、居場所。

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『一人にならないで──』 ………あいつが 俺に伝えたかった真意はまだ、よく分からないが… きっと、これから “望んでいないこと”が 起きるのだろうと予測していた────。 リーリー… と虫の鳴き声が聞こえる──。 「柘磨──?」 名前を呼ばれハッと我に返った俺が振り返ると 珠紀がいて、心配そうに俺の顔を覗いていた──。 「お……おぅ…お前か…。どうした?」 一瞬、驚きはしたが、すぐに冷静な態度をとって声を掛ける……。 我ながらあからさま過ぎたかと思ったが、やってしまった後では、どうしようもない……。 静かに珠紀の返事を待ってると 「……あの……今日は有難う…」 ペコリと頭を下げてきた珠紀に俺はつい目を丸くしてしまい 「な、何のことだ?俺は礼を言われることなんてしてねーぞ?」 言葉が少しギクシャクしてしまったが、顔が見えないように、そっぽ向いて返事をしてしまう。 (こんなんだから、勘違いされんだよな………) と、モヤモヤとした気持ちも生まれたが、どうしても今の自分の顔はこいつにだけは見られたくないんだ──。 「………さっき…大蛇さんに聞いたんだけど……これ…拓磨が考えてくれたんでしょ?だから……お礼が言いたくて…」
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