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祐一の言葉が聞こえなかったのをいい事に
真弘と遼の両者は
まだ取っ組みあいを続けている。
が…………
「はいはい。邪魔邪魔。喧嘩するならよそでしなさいよね?」
眼鏡を掛けた女子生徒が堂々と2人の間に
割って入っていった。
「清乃ちゃん!」
珠紀がその姿に
嬉しそうに声を張って名を呼ぶと
「やーやー心の友よ!」
清乃は笑顔で珠紀に振り向き軽く手を振った。
「多家良か………チッ」
遼がそんな清乃の姿を見て舌打ちを残し校内にへと姿を消して行ってしまった。
途中……
「あ!遼………っ」
と言う珠紀の呼び止めも聞かず。
その後、清乃のお陰で
あの場は収まり皆自分の教室にへと向かった。
そして
昼時…………。
「今日もいい天気ですね~……」
真っ青に広がる青空を見ながら1年の慎司が呟いた。
「そうだね。風も気持ちいいし」
「それに…素敵な先輩とお昼ご飯も食べれますから」
心地良さに自然と笑顔になる珠紀に悪意を感じさせない笑みを浮かべ慎司が言うと
「し……慎司…く///」
「おい慎司。それ間違ってねぇーか?」
珠紀が顔を赤くしていた中
空を見つめながら焼きそばパンを片手にしている真弘が
声を掛け…
「え?僕、間違ってますか?」
慎司が真弘の言葉に首を傾げると
真弘はゆっくりと視線を
グランドの方にし…
「素敵な人ってのはな…皆に優しくて、体型もよくて髪もサラサラでよ…おまけに…」
「『胸もデカイ、フィオナ先生』……」
「そうそう…胸もデカ………って…たぁくまぁああああぁ!!!」
幸せそうな顔をしながら語る真弘の言葉に
棒読みで言葉を付け足したのは拓磨で
それにやっと気づいた真弘が拓磨に吠えた。
ちなみに他の皆は
とても冷めた目で真弘を見ていた。
「またフィオナ先生………。」
真弘から視線を逸らし珠紀が呟き
「先生としては良いんですがね…」
弁当をつっつきながら慎司が言い
「鴉取はあんなオバサンがタイプなんだな…」
遼が二ッと笑いながら嫌味を吐き
「……………いなり寿司」
祐一が…………
空を見上げながら言った。
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