送り火

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月に誘(いざな)われていく あなたを照らす海の星 ゆらりゆらめいて漂い消える 夜が終わるまで 変わらぬ世界 ずっと続いてくと 信じていたよ 帰らないこの今も ひとり暗い夜の底 歩くあなたは何処にいる? 同じ道を歩いてみても あなたに辿りつけない 凍てつく心解かしてくれる 焔(ほのお)はもう灯らない だから祈る 「せめてあなたが夜に惑わぬように」と 月に導かれていく あなたを照らす送り火よ ゆらりゆらめいて漂い消える 夜が終わるまで 遠くに響く 花火の咲く音も 静かな波に 掻き消され届かない ひとり暗い夜の海 歩くあなたに今送る 記憶 心 すべてを乗せて 焔よ道を照らせ さみしくないよ もう大丈夫 姿がもう見えなくとも 「ここにいる」と 愛おしい声 胸の奥に残ってた 「どうかもう泣かないで」と 夜空がくれた流れ星 きらり道を描いて消えてく 夜が溶けるまで 愛し愛された今も 最期に贈る焔(ひ)を灯す ゆらりきらめいてあなたに届け 朝が来るまで
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