2月13日・朝

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「だが、断る。係わり合いになりたくない、まだ死にたくない。よく考えろ、中学んときは多少の事態はなんとかなってきたけど、それは、義務教育だったからだぞ? 高校は違う、退学にだってなりかねん。おれは進学したいし、入学して一年足らずで退学したくない! うん。つーわけだ。無理!!」 「市橋くぅぅぅん」 「すまん、無二。学校からお前が消えても、お前の事は忘れない」 要求をあっさり振って、席を正そうとする市橋に、くずおれた無二がぽつりと言う。 「なあ……、市橋、お前、チョコ何味が好きぃ?」 「え゙?」 「ホワイト味かなあ? ストロベリー味かなあ? ムニ味かなあ?」 半ば呆れた笑いを上げる反面、市橋の顔は青ざめていた。 「……ホワイトでいいです」 真面目に答える。 冗談でもムニ味とは言ってはいけないような気がした。 薄ら寒い笑みを浮かべた無二が顔を上げる。 焦点をぼやかしたまま軽薄に宣言した。 「はんっ、お前が手にするチョコは、ムニ味し、……さらば、友よ。そして存分に食せ、おれを」 都合よくチャイムが響いた。 教諭の登場に、無二は卑屈な調子で正面へむきなおる。 「起立、礼、着席!」 「おい、市橋ー? どうしたー? 席座れー」
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