2月13日・朝

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「いだだだだっ、わかった、 わかった!! 協力するっ協力するから」 その途端に被る苦痛がはがれる。 「ほんとー? うわあ、市橋くん大好きぃ!」  胸に飛び込んでくる無二を市橋は遠慮なく叩き落とす。 「やめろし! キモイ」 「いや、なんか、体が勝手に……」 「自分の体ぐらい自分で統率しろし。で、どうすんの? つーか、どうしてほしいの?」 「とりあえず聞き込みし。市橋くんは、二年と三年で。俺は一年で」 頭をかきむしりながら、市橋は一段と冴えない顔になる。 「わかった。その代わり死んでも俺の名前を唯一ちゃんの前で言うな……――って、なんかシェア比おかしくないっ?! 俺ひとりでそんだけ行けってか?!」 「男ならひとりで行けし、」  憐憫な調子で無二が笑う。 表情を凍結させた市橋は、こめかみを押さえる。 血管が破裂しそうなほど浮き立っていた。
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